2017.04.05.Wed 拝啓 良さん

涙が目の奥から湧いて出る。
まるで洪水みたいに止まらない。
たまらない悲しみだ。
でも、がんばって今の気持ちを書こうと思う。


底抜けに優しい人だった。
わしみたいなチンピラを、気にかけてくれた。
カベというか、山というか、いつもわしの前に立ちはだかった。
追いつこうとか、追い越そうとか、そんなことは思わなかった。
だって大きすぎて、最初から諦めた。
そんな大きい背中だった。

いつも笑顔だった。
目を閉じると、あの笑顔が浮かんでくる。
いつも冗談ばかり。
わしもよくからかわれた。
「因幡先生」と、わしを先生呼ばわりする。
勘弁してよ。

わしは、誰かに慕われることはあっても、誰かを慕うことはあまりしなかった。
若い頃は、人に頭を下げることが嫌だった。
でもあの人にだけは、心を開いた。
無理なく、すんなりと心が開けた。
なんなんだろうな?あの包容力みたいなもの。

よく前座で使ってもらった。
それは勉強するため。
お客さんへの配慮。
スタツフとのコミニュケーション。
リハーサルや楽器、ステージのこと。
ライヴや音楽に対しての姿勢。
そして、歌への思い。
いろんなことを、あの大きな背中から学ばせてもらった。
それは今でもわしの財産になっている。

教えることが上手かった。
優しい人だったから、怒られたことは一度もない。
いつも投げかけるように、モノを言う。
決して強制はしない。
あの手ほどきは、相手への思いやりだったと思う。
優しい顔で、優しいタッチで、物事を教えてくれた。

20年前。
初めてわしの作品が世の中にリリースになった。
一通の手書きのハガキが届いた。
あの人から。
初めて音楽のことで褒めてもらった。
心底うれしかった。
誰の褒め言葉より、一番うれしかった。
何よりの自信になった。

あの人との思い出は、山ほどある。
いろんなシーンがよみがえって来る。
人に頭を下げることの出来なかったわしに、身をもって教えてくれた。
「実れば垂れる稲穂かな」
わしの音楽はもちろん、人生にまで影響を与えた大恩師。


先日は音楽の大師匠が亡くなった。
そして、今日、歌の大師匠が逝った。
お二人には教えてもらうことばかり。
真面目に音楽をやり続けることが、わしの今出来る、音(おん)返しだと思う。

正直、ご冥福は、まだ祈れないでいる。
心が死を受け止められずにいる。
また元気で会えると信じてた。
「因幡先生元気ですか~?」と、ふざけてやって来るような。
いつものようにわしをからかって、笑顔で会えると信じてた。

あの山のようにでっかい背中。
いつまでもわしの前にそびえ立つ。
加川良は、わしの中で今も生き続けている。


ありがとー!良さん。
あなたの歌が、わしは大好きです。



ありがとう。
ありがとう。
良さん。
https://youtu.be/m13OpchuDzw
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